Japanese
English
展望
投映法
Projective Method
辻 悟
1
Satoru Tsuji
1
1大阪大学医学部神経精神科教室
1Dept. of Neuropsychiat., Osaka Univ. School of Med.
pp.848-857
発行日 1969年11月15日
Published Date 1969/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201531
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
心理検査法はその目的によつて,一般に知能検査法と人格検査法とに分けられていることは周知のとおりである。また方法論的にみれば,尺度法Scale-methodと投映法Projective methodとに二大別することができる。ここでいう尺度法とは,目録法Inventory,質問紙法Questionnaire,作業検査法などの総称で,いずれもあらかじめ性質の明らかな尺度scaleをつくつておき,対象にその尺度をあてはめて,対象におけるその性質の度合いを知ろうとする方法である。
尺度法においてつねに問題とされるのは,もちいられる尺度の信頼性reliabilityと妥当性validityである。この信頼性,妥当性の問題はけつして単純ではない。しかし,いずれにしても尺度法においては,信頼性と妥当性とが確立されてさえいれば,その方法の本質的な性質と目的の理解にはさして困難や混乱はないといえよう。それに対して投映法Projective methodと名づけられる一連の人格検査法は,その本質的な性質を,一貫した理論的洞察でまとめることができるか否かに関して,種々の困難と混乱とがみられる。事実,現在投映法として慣用的に分類されている検査法は相当の数にのぼるが,中核的なものと考えられる検査法はともあれ,細部ではその包括範囲にすら混乱がみられている。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.