予防的育児支援Oregon Healthy Start Program─オレゴン州における集中的家庭訪問サービスの実際

Oregon Healthy Start is a Voluntary Home Visit and Family Support Program That Assists First-time Families : A Report of Critical Elements and Practices

　本年4月より、増え続ける“子どもの虐待”予防策の一環として、厚生労働省によって創設された「こんにちは赤ちゃん事業」がスタートした。この事業は、①支援が必要な家庭に適切なサービス提供をつなげること、②乳児を養育する家庭の孤立化を防止し、健全な育成環境を確保することを目的として、生後4か月までの乳児のいる全家庭への訪問を謳っている（表1）。

　米国オレゴン州では、この事業のお手本ともいえる虐待予防を目的とした家庭訪問プログラムがすでに実践され、確実にその成果を挙げている。アメリカでソーシャル・ワーカー（SW）として、またその教育者として長年活躍されたヘネシー澄子先生（当時、東京福祉大学教授）によって、このオレゴン州の予防的育児支援プログラムOregon Healthy Startが日本に紹介されてきた^1），2）。それを機に、筆者はヘネシー先生企画のツアーに参加してオレゴン州を訪問し、2004年にはプログラムや実践関連施設を見学し、2006年秋にはスタッフ研修プログラムに参加する機会が得られたので、プログラムの理念と実践、研修の概要を紹介したい。