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Ⅰ.緒 言
急性骨髄性白血病,急性リンパ性白血病(以下,白血病)は,正常な造血機能が著しく阻害され,適切な治療がなされない場合には,感染症や出血により短期間で致死的となる重篤な疾患である1).白血病の5年相対生存率は改善しているが,固形腫瘍と比較すると低い2).第一寛解期の急性骨髄性白血病に対する化学療法や造血幹細胞移植を実施した報告によると,5年無病生存率は30〜55%で,高い再発率が示されている3).再発後の化学療法で治療抵抗性を示せば,症状緩和や延命を目的に化学療法を繰り返し,死亡直前まで化学療法を実施することがある.
白血病治療は,化学療法や同種骨髄幹細胞移植(以下,移植)が実施されるが,治癒を目指す積極的治療期から終末期への移行が分かりにくい.そのようななかで,看護師は症状が安定している時期から増悪に移行する時期を終末期と認識し,ケアしていることが報告された4).終末期にある造血器腫瘍の患者を看取る看護師の感情に関する研究では「整理できない気持ち」「怖さ」「後悔」の3つの否定的感情が明らかにされ,看護師は予測できずに急変した患者の死を受け止めきれず,ショックが大きいと報告されている5).
新人看護師にとっては,白血病に限らず,がん患者の死を経験することは困難をともなうとされている6)〜8).治癒を目指す積極的治療期から終末期に移行する時期を察知できない新人看護師にとって,白血病患者の終末期看護では,よりストレスが大きいと推察され,新人看護師のバーンアウトにもつながることが危惧される.しかし,これまで終末期にある白血病患者の看護に携わる新人看護師に焦点を当てた研究はない.そこで,終末期にある白血病患者の看護に携わる新人看護師の困難を明らかにし,支援方法や付加的な教育プログラムに関する示唆を得たいと考えた.
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