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Ⅰ.はじめに
わが国では国民の3 人に1 人ががんで死亡しており,がん療養者の終末期の療養場所の確保が重要課題となっている.訪問看護は,こうしたがん療養者やその家族のQOL 維持・向上を目指し,支援者となることが期待されている.
終末期がん療養者の在宅緩和ケアは,高齢者の在宅ケアとは異なり,在宅療養期間は短く症状が不安定である1)2).また,医療依存度が高く,家族の負担の内容も異なる3)4)ことから,訪問看護師は新たな知識・技術の獲得が必要となる.訪問看護が関わる在宅緩和ケアの研究では,訪問看護の評価に関するもの5),訪問看護師の知識・技術の修得状況6)や在宅での看取りに向けた連携体制7)など,多方面から行われている.しかしながら,実際のケア場面で訪問看護師が感じる困難については,個別の困難事例についての報告のほか,長谷川らの訪問看護導入時の困難感8)などが散見される程度で,どのような状況でどのような支援に訪問看護師が困難を感じているのかが不明確である.
近年の看護師不足とも相まって,訪問看護ステーション数は伸び悩んでいる.また,スタッフ数不足から,医療処置の多い療養者を受け入れかねるというステーションも多い9).平成24 年度診療報酬改定では,在宅医療を重要視した見直しが行われ,訪問看護の政策的な拡充をねらいとしている.そのため,在宅緩和ケアの重要な役割を担う訪問看護師が,実際にどのような点に困難を感じ終末期の療養生活を支えているのかを明らかにし,在宅緩和ケアの充実に向け訪問看護の教育支援へ反映させる必要があると考えた.
以上のことから本研究では,訪問看護師が終末期がん療養者ケアで感じた困難を明らかにすることを目的とした.
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