第7回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
糖尿病療養指導士としての理学療法士の役割と専門性
石黒 友康
1
Tomoyasu Ishiguro
1
1聖マリアンナ医科大学東横病院リハビリテーション部
1St. Marianna University, School of Medicine Toyoko Hospital Dept. of Rehabilitation
pp.63-67
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
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はじめに
平成4年,米国糖尿病教育者協会より発刊されている“Diabetes Education”の邦訳『糖尿病教育』(三村・福満, 1992)が出版された.その序文で,訳者の1人,三村悟郎氏は翻訳の目的を「日本における糖尿病教育システムの確立と教育士の質の向上」として,将来わが国においても糖尿病教育士という資格が認可され,広く社会貢献を果たすことを期待をもって述べられている.
2回の認定試験が終了し,現在約6,400名の日本糖尿病療養指導士(以下,CDEJと略す)が全国で活動し始めている.CDEJ認定にはいくつかの条件が課せられているが,現在,療養指導を医療機関で行っていることと限定したことは,一次予防の観点から保健所や企業で保健指導を行っている保健師,管理栄養士の方々にとってはやや不満が残る点と思われる.
一方,医療資格者に限定したことは,糖尿病の療養指導には幅広い臨床医学の知識が必要であることを考えると適切な判断といえる.その意味で,従来リハビリテーション医療や,福祉領域の専門職として認知されている理学療法士(physical therapist:以下,PTと略す)が,糖尿病治療グループの一員として正式に認められたことは,運動療法の専門家として,医療全体を通じて明確に位置づけられたといっても過言ではない.
そこで本稿ではまず,PTが糖尿病治療に参加するにあたっての問題点を明確にし,次いでCDEJとしての役割について述べたい.
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