連載 科学的介護と科学的介護情報システム(LIFE)・第2回
科学的介護情報システム(LIFE)とは何か
三上 直剛
1
Naotaka Mikami
1
1日本作業療法士協会
pp.492-496
発行日 2023年5月15日
Published Date 2023/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203373
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2000年(平成12年)に介護保険制度が創設されてから20年余となった.介護保険制度創設時の介護報酬に関する重要な論点の一つに,いわゆる「成功報酬」を巡る議論があった1).対象者の要介護状態が改善された場合には制度上は介護報酬が下がるのは不合理であり,何らかの評価を行う仕組みがあるべきではないか,という問題が提起されていた.提案事項は,①要介護者単位で改善等に対する評価を行う方法,②事業所・施設単位で改善等に対する評価を行う方法の2つが提案された.課題として,①の方法は,要介護度が改善した後に利用者が事業者を変更した場合,改善に成功した事業者に対する評価がなくなること,②の方法は,複数の事業者がサービス提供をする中で改善に寄与した事業者を特定することは困難で,具体的指標の確立や定期的な状態を把握するための仕組みや客観的評価を行う手法の確立が必要との指摘があった.介護給費部会の委員からは,要介護度の改善は「報酬上の評価で報いるのではなく,花束を贈呈すべき話」であるとして,報酬上の評価になじまないとの多数意見でこの議論が見送られたことが印象に残っている2).
Copyright © 2023, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.