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特集 高齢者の脊柱変形Up to Date
第1章 疫学・症候
脳卒中片麻痺患者における体幹バランスの変化
Altered Trunk Balance in Patients with Stroke
井上 智夫
1
,
鈴木 晋介
1
,
遠藤 俊毅
2
,
冨永 悌二
3
Tomoo INOUE
1
,
Shinsuke SUZUKI
1
,
Toshiki ENDO
2
,
Teiji TOMINAGA
3
1仙台医療センター脳神経外科
2広南病院脳神経外科
3東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野
1Department of Neurosurgery, Sendai Medical Center
キーワード:
脳卒中(stroke)
,
片麻痺(hemiparesis)
,
アライメント(alignment)
Keyword:
脳卒中(stroke)
,
片麻痺(hemiparesis)
,
アライメント(alignment)
pp.325-330
発行日 2017年4月25日
Published Date 2017/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200597
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はじめに
脳卒中は日本人死因の第4位であるだけでなく,その生存者にもしばしば重篤な後遺症をきたす.また,脳卒中に関する医療費は,国民医療費の1割を占めるほか,要介護者の原因疾患第1位という社会的負荷の大きい疾患でもある18).脳卒中の後遺症は多岐にわたるが,特に片麻痺を呈する脳卒中患者は,健常者と比較し体幹バランス能力や筋力が低下しているため,歩行障害,日常生活における介護,そして転倒・転落などの危険性が生じることが示されている4,5,9,19,37).また,入院時の体幹筋活動が6カ月後のBarthel Index scoreの重要な予測因子であることも知られている31).体幹筋活動は,脊柱および骨盤アライメントから構成される体幹アライメントとの関係があり11,20),体幹アライメントの異常が脳卒中患者で生じることが報告されている35,37).そのため,体幹アライメントを改善することが,転倒・転落による頭部外傷,脊椎・脊髄損傷や大腿骨骨折などの重篤な転帰を回避するために重要なリハビリテーションの目的と考えられる.
本稿では,脳卒中片麻痺患者の体幹バランスの変化や治療方法を中心に検討していく.
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