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特集 触法障害者・触法高齢者への支援と作業療法
医療観察対象者への支援とかかわり—夜間・休日等の緊急時連絡体制を通じて
The involvement and support of offenders with disorders
棟近 展行
1
Nobuyuki Munechika
1
1法務省 横浜保護観察所
pp.1115-1120
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200010
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Key Questions
Q1:医療観察対象者とは?
Q2:社会復帰調整官のかかわりとは?
Q3:緊急時連絡体制による支援とは?
はじめに
「『殺してやる』と,四六時中言われ続け,誰も信じられなくなり,本物の警察に保護してもらおうと思い,アパートに火をつけました」.
医療観察対象者(以下,対象者)は,精神障害の影響により通常の刑事責任を問えない状態で重大な他害行為を起こした者であり,これは,放火事件を起こした対象者の言葉である.
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の社会復帰を促進することを目的とした医療観察制度(図11))が施行されて9年が経過した.筆者は,OTとして精神科病院での勤務を経て,現在は医療観察制度における介入型のケアマネジャーである社会復帰調整官(以下,調整官)として対象者にかかわっている.精神障害の影響による触法行為は,周囲からの理解が得られにくく,また,多くの問題を抱えた対象者の社会復帰に向けた道のりは,とても困難だと感じている.一方で,医療観察制度による支援の可能性も感じている.
本稿では,筆者が所属する横浜保護観察所社会復帰調整官室における夜間,休日等の緊急時連絡体制により,対象者の地域生活支援を行った事例を紹介する.そのうえで,実践結果や事例等を通じてみえた本制度の効果や意義,今後の課題について考えてみたい.なお,本稿中,意見にわたる部分は,あくまでも筆者の私見であるが,医療観察制度への関心が少しでも高まる機会になれば幸いである.
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