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Key Questions
Q1:生後1年で顔認知能力はどのように発達するか?
Q2:ASD児とADHD児で顔認知能力はどう違うか?
Q3:発達障害臨床における作業療法の役割とは?
顔認知能力の萌芽,それを支える神経基盤
乳児は生後まもなくから顔を注視する.生後10時間以降の乳児でさえ,ほかの図形よりも顔らしい図形を注視するという1).乳児による顔への注視を生後1年間にわたって調べたCourageら2)は,顔画像や,縞模様や四角形等の幾何学図形,セサミストリートのアニメーション等を乳児に見せ,各画像に対する注視時間の発達的変化を検討した.その結果,生後6カ月半ごろにかけてすべての画像に対する注視時間が減ることが示されたが,顔画像やセサミストリートのような社会的な刺激に対してのみ,9~10カ月ごろから13カ月にかけて再び注視時間が長くなったという.この結果は,生後1年の間に養育者を含む他者との社会的交互作用の経験を重ねた乳児にとって,顔は注意を向けるべき特別な視覚刺激であることを示している.
乳児が顔を見るときには,他の物体を見るときとは異なり,顔に特異的な脳活動がみられることが近年の研究から明らかになっている.近赤外分光法(near-infrared spectroscopy:NIRS)は,脳活動に伴う血流変化の際に発生する酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸化ヘモグロビン(deoxy-Hb),これらの和である総ヘモグロビン(total-Hb)の濃度変化を計測する手法である.NIRSによって脳活動を計測する最大のメリットは,fMRIやPETと異なり,計測時に被検者を固定する必要がない点である.乳児やADHD等の発達障害をもつ児など,体を短時間でさえ静止させることが難しい被検者でも計測を続けることができる.
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