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編集後記
本田 五郎
pp.370
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426200726
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「42歳男性.心窩部痛を主訴に近医を受診.腹部超音波検査で胆囊腫大を認め当院内科を紹介受診.CTにて胆囊と総胆管に結石を認め当科紹介」カルテ上で日常的によく見る文章ですが,本誌に投稿されてくる症例報告論文にもしばしば同様の文体が用いられています.本来,医療記録(カルテ)はきちっとした日本語で記述されるべきですが,医師の過剰労働の問題も相まってか,ある程度端折った簡易的な文体が容認されているのが現状だと思います.しかし,そのような簡易的な文体が医学界の業界用語・業界言葉として医学論文でも通用するということは決してありませんので,本誌に論文を投稿して頂く際には,正しい日本語を使って書いた原稿をお送り頂きたいというのが,私たち編集委員の切なる思いです.内容的には優れた論文でも,日本語の文体に問題がある場合,そのまま採用するわけにはいきません.編集委員は日本語の文体や誤字脱字などの細かなところまでチェックし,訂正の必要な箇所を指摘します.
本来,こういった学術面以外の問題点は論文を投稿する前に教室や施設の指導者によって適切な指導が行われるべきものです.私の施設では,若手医師が診療情報提供書を作成したら,原則として部長が内容を確認してサインまたは押印します.その際に,内容そのものや誤字脱字のチェックだけでなく,文体や助詞の使い方や「てにをは」をチェックして文章の正しい書き方を指導します.余裕がある時は,手術記録の文章も同様に指導します.
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