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年末の恒例行事である第31回日本内視鏡外科学会総会が福岡大学の岩﨑昭憲先生の素晴らしい企画で盛会のうちに終了し,新しい年を迎えることができました.平成最後の総会は,まさに内視鏡外科の歴史に一区切りをつけ,新たな時代の内視鏡外科の方向性を示していただいた総会だったと思います.この総会では医工学連携委員長として初めて,医工学連携企画を担当させていただきました.分からないことだらけで最初は戸惑いましたが,医工連携展示・ブースツアーでは出展していただいた企業にも大変好評価でしたし,国産ロボットのパネルディスカッションでも会場がいっぱいになるほどの聴講者にご参加いただき,本当に感無量でした.医工学連携というと,私が前々から感じているのは我々ユーザーのニーズとメーカーのニーズのマッチングができていないのはありますが,ユーザー側に機器のコンセプトやメカニズム,あるいは機器の利点やピットフォールがきちんと伝わっていないことが多いように思います.もちろん企業にしても製品説明のために色々と工夫をされているのは知っていますが,それがどの程度周知されているのか,また正しい使用がされているのか,もっと積極的にリサーチをしていただきたいように思います.米国ではSAGESでFUSE (Fundamental Use of Surgical Energy) という教育プログラムがあり,エネルギーデバイスの基本原理や正しい使用法を教えており,近年日本内視鏡外科学会でも取り上げられるようになってきました.ただ,医療機器の発展は日進月歩です.同じような機器で,基本原理は同じでもそれぞれのメーカーの特徴は大きく違う部分もあります.それらの特性を十分理解して正しく使用するのは外科医の義務です.「外科医だから器械のことは分からない」というのでは,内視鏡外科医としては不勉強な気がします.新しい時代の医工学連携委員会としては「ものづくり」に焦点を当てるだけではなく,新しい医療機器の原理や特性,また企業主導ではなかなか難しい他社製品との違いなどに焦点を当てた教育コンテンツの充実にも取り組んでいきたいと思っています.一度に風呂敷を広げて収集がつかなくなっては困りますが,少しずつ医工学連携の内容を充実させていければいいかなと思っています.
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