- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
世界中の婦人科腫瘍専門医が注目していたLACC trialの結果が2018年11月にMinimally Invasive versus Abdominal Radical Hysterectomy for Cervical Cancer. N Engl J Med 379(20):1895-1904, 2018に掲載された.タイムリーに本誌の文献抄録に紹介したかったが,10月が締め切りであったため間に合わなかった.これは子宮頸癌に対する低侵襲広汎子宮全摘出術(腹腔鏡,ロボット)の予後,合併症,QOLなどを,それまでの標準術式である開腹広汎子宮全摘出術と比較したランダム化試験である.子宮頸癌に対する低侵襲広汎子宮全摘出術が,従来の開腹術に比べ再発・死亡のリスクを上げるという結果であった.日本はこの試験に参加していなかった.予後が悪かった原因として,腟カフの作製の有無や術者や施設の違いもあるのかもしれないが,今後の日本の子宮頸癌に対する広汎子宮全摘出術を考えさせられる試験となった.しかし,日本は放射線治療ではなく手術にこだわってきた歴史もあり,広汎子宮全摘出術の術式は諸外国と異なり,radicalityも高い.今回の結果は非常に重要ではあるが,日本からの情報発信を続ける必要がある.
2年前に日本内視鏡外科学会雑誌の編集委員にさせていただいた.2か月に1回医学書院に編集委員全員が集まって編集会議を開催していた.審査論文は紙ベースであったものが,PDFファイルとなり,遠方の先生方はテレビ会議で参加と変化した.また,本号から完全オンライン化され,全論文カラーで掲載されることになった.雑誌が送られてくるとパラパラ眺め,気になった論文はその場で読むようにしていたので,冊子としての形態がなくなってしまうのは寂しさもある.しかし,コスト削減,事務局の業務軽減,保管スペースの確保などからもよい点が多い.今後は電子版になりますが,皆様により一層有意義な内容を届けられるように努力してまいります.そのためにも多くの論文投稿をお願い申し上げます.
Copyright © 2019, JAPAN SOCIETY FOR ENDOSCOPIC SURGERY All rights reserved.