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編集後記
須田 康一
pp.720
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426200618
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本誌編集委員会は2か月に1回開催されます.その1か月程前になると各編集委員に6〜8編の新来論文が送られてきます.最近その中に,ロボット支援手術に関する論文が散見されるようになり,とても嬉しく感じています.
内視鏡外科手術は,テクノロジーの進化とともに発展してきました.昨今,次世代のテクノロジーとしてロボットと人工知能(AI)が注目されています.昨年,先進医療B:「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術」にて,ロボットの使用により腹腔鏡下胃切除術後合併症発生頻度が有意に軽減されることが示され,本年4月より,胃癌,食道癌,直腸癌,肺癌,子宮体癌,膀胱癌,縦隔腫瘍に対するロボット支援手術を含む12のロボット術式が新たに保険収載されました.2012年にロボット支援前立腺全摘術が保険収載されて以来,本邦は,世界第2の内視鏡手術支援ロボット保有国でありながら,ロボット1台あたりの手術施行件数は世界最下位という,“宝の持ち腐れ”状態に陥っていました.今回の診療報酬改定には,ようやくその“資源”を活用して内視鏡外科手術を次なるステージに飛躍させる大きな契機となる可能性が期待されます.普及期の安全性を担保するためのレジストリー制やプロクター制度等新しい試みも始まります.保険診療の要件やコストの問題等,越えなくてはならないハードルは複数存在しますが,ロボットの能力を引き出す手技やセットアップの工夫,ロボットの臨床的有用性,ロボット外科医を養成するためのトレーニング,次世代のロボットの開発等々について,本誌上で活発な議論が展開されるのを心待ちにしております.
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