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編集後記
池田 徳彦
pp.120-121
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426101059
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本誌への投稿論文はすべて編集会議で採択を審議されるため,呼吸器外科医の私も多くの消化器外科などの論文に接することとなります.いずれの領域においても内視鏡手術の拡大は急速であり,すでに多くが標準術式化していることを感じます.肺癌の手術は血流が豊富で壁の脆い肺動脈を剝離する必要があったり,術野の展開が多かったりするなど内視鏡手術に必ずしも有利なことばかりではありませんが,本邦の肺癌手術のうち胸腔鏡下手術は全体の60%を占めるに至り,新たな「標準手術」であります.しかし,その適応や手術方法は全国的に完全に統一されてはおりません.いずれの領域でも早期癌の割合は一層増加すると推測され,低侵襲に根治させる方法を進化させていくのは外科医の任務であります.そのためには日常診療を行いつつ,同時に科学的な検証を行ないうることが合理的と思われます.
最近,外科系学会においてNational Clinical Database(NCD)の登録が一斉に開始されました.手術の実施状況や安全性を調査するためにはNCDを利用して,疾患名,術式,併存疾患,合併症率などに関する調査項目を解析することで可能となります.同時に各施設や専門医個人が自らの治療成績を全国データと比較することにより,各人が症例リスクに応じた治療成績を把握するなど質の高い医療を目指した取り組みが期待できます.今後は手術の前向き登録データを用いた大規模な臨床研究でエビデンスを構築し,社会に情報発信していくことも一般化されるでしょう.
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