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編集後記
森 俊幸
pp.642
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426101004
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アニマルスピリットとは,企業家の投資行動の動機となる,将来に対する主観的な期待のことであり,英国の経済学者ケインズが『雇傭・利子および貨幣の一般理論』のなかで使用した用語です.経済活動の多くは合理的動機に基づいて行われていますが,その一方で,将来の収益を期待して事業を拡大しようとする,合理的には説明できない不確定な心理によって左右されると考え,その心理をいったものです.「血気」「野心的意欲」「動物的な衝動」などとも訳されています.
医学の目的は収益性向上の期待にあるわけではないので,アニマルスピリットという概念が医学にそのまま適用できるわけではありませんが,新たな術式の発案などには同様な野心的意欲が必要なことには多くの方に同意していただけると思います.内視鏡下手術においても多くの新たな試みは外科医のアニマルスピリットをその出発点としています.一方,多くの機器を使用する内視鏡下手術の特性から,市場性を感じたメーカーのアニマルスピリットも大いに刺激し,両者の共鳴により,術式や手術器機も発展してきたのも事実です.
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