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編集後記
坂井 義治
pp.556
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426100529
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2010年6月14日,7年を超す旅を終えて小惑星探査機「はやぶさ」がオーストラリアの砂漠に帰還した.小惑星イトカワより砂粒を持ち帰った可能性が大とのことである.7年間の旅程の中,7週間通信が途絶え行方不明となったこと,12基の化学エンジンがすべて故障したこと,さらに4基中3基のイオンエンジンが故障したこと,これら回復不可能と思われる困難を技術者のアイデアと忍耐力で克服したという.このような技術には全く素人の私も,マスメディアが報じているように日本の技術力の高さに感服するだけである.
内視鏡外科手術の世界に目を転じる.今月号の論文13編中4編が単孔式手術関連である.単孔式手術の普及に比較し遅れていた国内でのロボット手術も,今年は普及元年となる気配がある.しかし,このロボットも日本の技術が取り入れられているとはいえアメリカ製である.「はやぶさ」でみせてもらった技術力の高さを,日本製小型化ロボットの開発やconventional laparoscopic surgery/単孔式手術をロボット手術に近づけるための器機開発に,さらには近赤外線分光器による小惑星イトカワの構造物質解析器機を癌細胞同定の器機開発に応用できればと思う.
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