特集 透析診療のすべて
Part 2 透析管理の基本と原則
【コラム⑦】透析患者の抑うつ—日頃の回診で食欲・睡眠状況について確認する
大武 陽一
1,2
Yoichi OHTAKE
1,2
1たけお内科クリニック からだと心の診療所
2水谷クリニック
pp.416-419
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901146
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透析患者のうつ病の時点有病率については,さまざまなデータがあるが,なかでも最大規模のDOPPS*1Ⅱ1)では,13.9%と報告されている。この研究では,欧米の有病率が軒並み10〜20%台であるのに対し,日本だけが2.0%と,諸外国と比較して非常に低い。この背景として,日本の透析医療が優れているとの見方もあるが,一方で,Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)という質問紙を用いた自己評価式の心理検査では他国の有病率と大差ないことから,日本では医療者によるうつ病の診断が適切に行われていない現状が考えられる。
実際に日本で大規模に有病率を検討したデータはないが,日本人108例の検討では,9.3%(10例)の時点有病率があること2)が報告されている。これらの研究結果から,おおむね維持透析患者の5〜10人に1人がうつ病を有している可能性があると考えるのが妥当であろう。
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