特集 感染症3
Part 2 病態編② パターン認識でとらえる発熱・感染症
7.関節炎と発熱—ホスピタリストが知っておきたい感染性関節炎と人工関節感染症
大藪 竜昇
1
,
岡本 耕
1
Tatsunori OYABU
1
,
Koh OKAMOTO
1
1東京大学医学部附属病院 感染症内科
pp.595-603
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901066
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発熱とともに関節痛を呈する症例に実臨床で出会う頻度は高い。関節痛の場合,関節およびその周囲の構造物の炎症に伴う疼痛か,炎症以外の原因による疼痛かを判断する必要がある。炎症に伴う関節痛の場合,関節炎が最も重要な鑑別で,(発熱を含む)全身性の炎症反応を伴う場合も,伴わない場合もある。
関節炎の2大要因は感染と自己免疫であるが,いずれも経過が急性か慢性か,侵されているのは単関節か複数関節か,などが鑑別を進める際の重要なポイントである。さらに感染性では,侵された関節が自己の関節(native joint)か人工関節(prosthetic joint)かで別の鑑別カテゴリーとなり,診断や治療法が異なる。
感染性関節炎(infectious arthritis)では種々の病原体が原因となるが,最多は細菌である。細菌による関節炎(bacterial arthritis)は,化膿性関節炎(septic arthritis)ともよばれ,自己の関節における細菌性関節炎を指すことが多いが,「化膿性関節炎」は感染性関節炎の意味で使用されることもある。また淋菌やBrucellaは感染性関節炎の原因細菌であるが,化膿性関節炎はそれら以外の細菌による関節炎を指すことが多いため,本稿でも踏襲する。
本稿では,単関節炎を呈することの多い化膿性関節炎を中心に,ホスピタリストであれば知っておきたい感染性関節炎およびその関連疾患について概説する。
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