徹底分析シリーズ 臨床研究論文を味わう:系統的レビュー・メタ解析とビッグデータ解析のお作法
ビッグデータを利用した因果推論—読解のポイント
牧戸 香詠子
1
,
津崎 晃一
2
Kanako MAKITO
1
,
Koichi TSUZAKI
2
1東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻 生物統計情報学講座
2日本鋼管病院・こうかんクリニック
pp.682-686
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202585
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臨床研究といえば,ランダム化比較試験(RCT)が王道であるが,マンパワーやコスト,倫理的な問題などの障壁を伴う。また,RCTは,被験者の選定基準により,併存症をもつ患者や妊婦,小児などは研究対象から外されやすいことや,例えば,ライフスタイルと喘息の発症,生活環境と肺疾患といった関連性の分析をRCTで検証することは,倫理的な問題を含むかもしれない1,2)。一方,医療におけるビッグデータとは,患者レジストリや電子カルテの普及,診療報酬請求の電子化,ウエアラブルデバイスなどの発達に伴い,さまざまな電子データが大量に蓄積された情報のことを指し,これらビッグデータを利用して,実臨床におけるさまざまな課題を観察研究として行うことが可能となった。
本稿では,英国のUKバイオバンクを利用し縦断的な追跡を行ったコホート研究を紹介しながら,その読み解き方について解説する。
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