巻頭言

COVID-19の蔓延に伴って訪日する外国人旅行者は減少したとはいえ，今後，感染が終息していけば，また以前のように，不慮の病気や怪我によって救急受診する外国人患者が増加していくことが予想される。外国人患者への対応には，言語の壁のみならず，文化，生活習慣，宗教，支払い能力など，さまざまなことに配慮する必要がある。そのため外国人診療に関する正しい知識の取得，有用なツールの活用，多職種連携が重要である。

　今回の徹底分析シリーズでは，外国人患者への緊急麻酔・手術に焦点を絞り，緊急時の術前評価と麻酔計画立案，コミュニケーションの方法，輸入感染症への対応，同意書の取得に係る法的問題，医療費の支払への対応について各専門家に執筆いただいた。

　本特集が，緊急麻酔・手術の必要な外国人患者により良い医療を提供するうえでの一助になれば幸いである。