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アスリートの診療:うっかりドーピングに気をつけろ
高山 慎司
1
1聖路加国際病院 臨床薬剤室
pp.268-270
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201609
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フェアプレーの精神で
いよいよ2020年オリンピック・パラリンピック東京大会(TOKYO 2020)が目前である。アスリートは競技会当日に120%の力を発揮するため,日々心身を鍛えることに懸命に取り組んでいるし,アスリートのトレーナー,所属企業,さらには各スポーツ協会なども全力でサポートしているだろう。ただし,スポーツは競技の種類や競技者のレベルにかかわらずフェアでなければならない。オリンピック憲章2019年版1)においては「アンチ・ドーピングへの行動をとることにより,クリーンな選手とスポーツの高潔性の保護」,世界アンチ・ドーピング機関World Anti-Doping Agency,(WADA)の世界アンチ・ドーピング規程2015年版2)においては「世界中の競技者の健康,公平及び平等を促進する」と明記されている。日本でも,スポーツにおけるドーピング防止活動の推進に関する法律3)が2018年10月に施行され,「スポーツにおける公正性及びスポーツを行う者の心身の健康の保持増進が確保されることを旨として,推進されなければならない」と謳われている。
これらに共通する視点は公平・平等であり,ドーピングとは薬物などにより競技能力を意図的に高めるアンフェアな行為である。スポーツのフェアプレーの精神からは決して許される行為ではない。意図的ではない正当な医療行為によるものであっても,禁止物質を使用してしまい,体内から検出された場合はドーピング違反となる可能性があり,後述する治療使用特例申請をしなければならない。
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