当世 問はずがたり
秘すれば花なんてNO…?
石黒 達昌
pp.1016
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200695
- 販売していません
- 文献概要
数百万の公費をネコババした舛添氏を糾弾する雑誌と,数億の賄賂を受け取った田中角栄再評価の本が仲良くコンビニの本棚に並んでいるのは,私にとって実に不思議な光景でした。純真な中学生の頃,ロッキード事件の田中角栄といったら,今の舛添批判など及びもつかないほどで,幼な心にも悪の代名詞のような存在でした。日本中が田中逮捕を望んでいたと言っても過言ではありません。それが今では異様なほどの再評価で,世の中も変われば変わるものです。
角栄と比較にならないほどの少額で失脚した舛添さんは,言ってみれば,本当にお気の毒な存在です。もっとも,テレビなどで普段から偉そうなことを言っていた=建前と本音が近いと期待させた,その分の代償を払わせられたということかもしれず,逆の見方をすれば,今のスタンダードでは,どこからどう見てもヒールの田中角栄という人物がわかりやすいだけなのかもしれません。
Copyright © 2016, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.