連載 周術期加温のアウトカム
論文バトルロイヤル(その2):外科医との溝は埋まらない
溝部 俊樹
1
Toshiki MIZOBE
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学教室
pp.672-675
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102170
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その後のアウトカム研究 周術期加温について,麻酔科医Sesslerは,ドンキホーテよろしく敢然と消化器外科医Baroneに立ち向かったが,その後,麻酔科医側から彼の援軍となるアウトカムは現れなかった。2000年以降も消化器外科領域では周術期加温のアウトカムに関する報告が散見されるが,その結果はまちまちで,決め手になるような研究は認められない1~4)。 そのような状況のまま10年が経過した2010年,『Annals of Surgery』に,周術期加温は“Holy Grail or False Idol?(聖杯か,それとも偽の偶像か?)”という,インディ・ジョーンズも顔負けの仰々しい副題をつけた研究が報告された5)。それによると,手術部位感染surgical site infection(SSI)の独立危険因子は,合併症としての糖尿病と手術部位が小腸という二つのみで,周術期正常体温はSSIと何ら関係ない,という結果であった(メモ1)。
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