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1980年代後半より,さまざまな分野で鏡視下手術が行われるようになり,小さな創での低侵襲手術が発展してきました。その最たるもの,究極の鏡視下手術といえるのがda VinciⓇを用いたロボット手術です。一般的な鏡視下手術と比較したda Vinci手術の特徴は,立体視が得られること,遠隔操作が可能なこと,アームが鏡視下鉗子のように真っすぐにつまむだけではなく,多関節を有し,ヒトの手以上に微細な動きが可能であること,そして習熟に非常に時間がかかる鏡視下手術とは異なり,ラーニングカーブの立ち上がりが急峻であること,が挙げられます。日本でも,すでに泌尿器科手術,婦人科手術などの鏡視下手術が導入された領域では,da Vinciの臨床使用が認可されており,施行症例数は増加傾向にあります。しかし心臓手術では,その手術の特殊性,難度などにより鏡視下手術自体がほとんど導入されませんでした。そんな心臓手術の分野でも低侵襲手術を可能にすると期待されているのが,このda Vinciなのです。
ロボット心臓手術は日本では始まったばかりですが,金沢大学附属病院では,従来のものよりもアームが増え,操作性が向上した新型のda Vinci Sを用いた心臓手術の治験を行うことになりました。日本でda Vinci手術をするためには,あらかじめda Vinciを提供しているIntuitive Surgical社(ISI)での研修を受け,ライセンスを取得する必要があります。このため,外科医2名,麻酔科医1名,体外循環技術認定士*11名,看護師2名の総勢6名は,米国ノースカロライナ州にあるEast Carolina Heart Instituteに赴きました。
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