徹底分析シリーズ 周術期における栄養管理
経静脈栄養のイロハ―アミノ酸と脂質,ビタミンおよび微量元素の欠乏に注意
松田 直之
1
,
高谷 悠大
1
,
武田 真輔
1
MATSUDA, Naoyuki
1
,
TAKATANI, Yudai
1
,
TAKEDA, Shinsuke
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野
pp.576-579
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101260
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現在,周術期および救急・集中治療領域の栄養経路の原則は,経腸栄養である。経静脈栄養は,経腸栄養が達成できない場合や術前低栄養に対する補助的な適応に限られる。しかし,依然として非消化管手術,心血管系などの術後に漫然と経静脈栄養が施行され,経腸栄養を先延ばしにするケースが散見される。
急性期栄養におけるガイドラインとして,2009年に欧州静脈経腸栄養学会European Society for Parenteral and Enteral Nutrition(ESPEN)により「外科領域における経静脈栄養に関するESPENガイドライン」1),および「集中治療領域における経静脈栄養に関するESPENガイドライン」2)が,さらに米国静脈経腸栄養学会American Society for Parenteral and Enteral Nutrition(ASPEN)と米国集中治療医学会Society of Critical Care Medicine(SCCM)より「急性期栄養ガイドライン」3)が公表されている。これらのガイドラインでは,経腸栄養を優先する意義に加えて,低栄養状態に対して経静脈栄養を用いる際の注意として,パッケージ化された静脈栄養製剤の有用性や,アミノ酸投与の重要性などが提唱されている。
以上を踏まえて,本稿では,汎発性腹膜炎,イレウス,難治性下血などで,経腸栄養を施行しにくい場合や,既に低栄養が進行していた際の苦肉の策としての経静脈栄養の考え方について,「経静脈栄養のイロハ」として,経静脈栄養の基本を解説する。
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