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今月は3, 5-Dimethyltricyclo [3. 3. 1. 13,7] dec-1-ylamineを取り上げる。
この構造式の特徴は何といっても,中央の3, 5-Dimethyltricyclo [3. 3. 1. 13,7]decである。tricycloは,三つの環が2個以上の原子を共有し飽和している環式炭化水素を表す。decはその環式炭化水素の炭素数を示している。この場合はdecであるから10個からできていることがわかる。カッコの[3. 3. 1. 13,7]は,どのような三つの環で構成されているかを決めるための表示である。tricycloは定義から,炭素鎖の橋が4本できる。カッコ内の数字は橋に含まれる炭素数(橋頭の炭素は数に入れない)を多い順に並べたものである。今月の化合物は[3. 3. 1. 1]であるから図1aのようになる。各炭素の位置番号の付け方は,橋頭の一つから始め,最長の橋を通って第二の橋頭にいたり,そこから二番目に長い橋を通って第一の橋頭に戻り,最後にそこから最短の橋を通って終わる。このルールに従うと図1bのように番号が付く。たしかに10個の炭素から成り立っている。上付きの数字の3,7は最後の橋がどの炭素原子同士をつないでいるかを示しており,3位と7位を結合しているから,図1cのようになる。これで3, 5-Dimethyltricyclo [3. 3. 1. 13,7] dec-1-ylamineのうちtricyclo [3. 3. 1. 13,7] decがわかった。3, 5-Dimethylは3位と5位にメチル基が1個ずつ結合していることを示しており,1-ylamineは1位にアミノ基が結合していることを示している。したがって,今月の構造式は図1dのようになる。この構造式をよくみると,3個の6員環が重なった形をしており,もう少し美しく示すと図1eのようになる。
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