症例検討 耳鼻科手術の麻酔
巻頭言
武藤 理香
1
1埼玉県立小児医療センター 麻酔科
pp.783
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100164
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麻酔科研修中は,麻酔科の醍醐味を味わうことのできる症例とは,心臓外科・呼吸器外科・脳神経外科…と,つい「派手(major)」な症例を思い浮かべてしまうのではないか。しかし,長年に渡って麻酔科に携わっていると,必ずしもそうではないことに気づく。短時間手術であっても,その科の疾患独特の合併症や既往歴が存在し,これをどのように克服していくかを要求される。
今回,minor科とされる耳鼻科の麻酔症例を改めて考察することを提案し,日頃よく遭遇する麻酔科泣かせの5症例を用意した。エアウェイにかかわる症例が2例,そのほか術中の神経温存を加味しなければならない耳下腺腫瘍摘出術,術後悪心・嘔吐をきたしやすい鼓室形成術,少し趣向を変え,最近筆者が経験した薬物ではなく医療材料によるアレルギーの症例の計5症例である。4症例に関しては,古くから存在する症例でいろいろ語り尽くせられているが,時代とともに新薬の開発やモニターが進化し,その結果麻酔方法も変化しつつある。これらの症例は特に麻酔科研修を始めたばかりの諸君は,よく当たる症例であろうから,これを機会にぜひ改めて問題点を洗い出し,それに対するそれぞれの施設での解決策を見出し,日々の症例へ還元してほしい。
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