巻頭言
無題
松田 勝一
1
1新潟大学医学部薬理学教室
pp.1
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906052
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私は戦争には出なかつたのであるから,大学を出て今日で30年あまりの研究生活を送つたことになる。ときに自らを省て忸怩たるものがあるのであるが,しかしこの間につねに努めてきたことは,ものを正しくみる見方の修業であつたといえる。修得の成果に至つては性のよきかあしきかの問題であるが,これらはすべて私のすぐれた師匠たちの衣鉢であると思つている。
私どもが教育している医学部学生のなかには基礎医学の勉強は卒業までの方便で,あたかも実地医業には何らの関係もないごとく考えている者が少なからずある。教科の糞暗記などはもちろん強ゆべきすじではあるまいが,少くとも実習は熱心にやつてほしいものである。はたしていかなる興味にひかれてかこの実習を休む学生は殆んどいないのである。それゆえ私は学生にいうのである。
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