論述
藥物による小腸運動の變化の解釋
大久保 義夫
1
,
柳谷 岩雄
1
1東京大學農學部家畜藥理學教室
pp.158-162
発行日 1952年2月15日
Published Date 1952/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905634
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
小腸運動は幾つかの型に分類することが,出來るが一般に主なる運動型として蠕動,分節運動及び振子運動が認められている。從つて生體内に於て小腸運動に就いて,藥物その他の影響を検索せんとする場合にはこの運動型を考慮しないわけにはゆかない。
一般に單一の運動型については,その收縮力の強化又は頻度の増加等を指標として運動の亢進或は抑制を論ずることが出來るが,生體内の小腸運動に於ては前述の如く種々の運動型が混在するのでこの樣な判定が困難である。例えば蠕動と分節運動とが大凡同じ位の頻度で現われている樣な状態に於て或る藥物を與えた場合に,蠕動は收縮力を増し頻度も増加したが分節運動は殆んど現われなくなつたと言うが如き状態となつたとする,この時には蠕動については亢進であり,分節運動に就いては抑制であるが,小腸運動については亢進であるか,或は抑制であるかを論じ難いのである。
Copyright © 1952, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.