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特集 細胞測定法マニュアル
細胞運動測定法
nm精度での顆粒運動の解析
Nanometric analysis of particle movement
上村 慎治
1
Shinji Kamimura
1
1東京大学教養学部生物学教室
pp.493-495
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905198
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植物細胞の原形質流動や神経軸索輸送(早い軸索流)は,光学顕微鏡で容易に観察でき,ビデオや16mm映画として記録できる。撮影記録のコマごとに原形質顆粒の移動距離を測ってゆけば,運動速度を求めることもできる。分解能(厳密には分解能resolutionではなく,精度accuracyというべき)の制限から,このような解析結果は,ある繰り返しのATP加水分解反応に伴う分子,あるいは分子集団によって起こる運動の平均的な速度を調べていることになろう。もし,単一分子による運動が分子のスケールであるnmの精度で,しかも十分な時間分解能で解析できるならば,細胞運動の分子機構の解明についてきわめて有力な手法となる。光学顕微鏡下の単一の(または,単一に近い)分子による運動を観察するには,たとえば,近年分子に螢光標識し,螢光顕微鏡下で運動を追跡するという実験や,画像処理技術を使い,数十nmの微小な顆粒の運動を直接観察1,2)する実験などがある。この章では,もう一つのアプローチ,顆粒の運動をnmの高い精度で解析する新手法について紹介する。
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