Japanese
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特集 生体運動の分子機構/研究の発展
軟体動物平滑筋のCatch機構
Catch mechanism of a molluscan smooth muscle
盛田 フミ
1
Fumi Morita
1
1北海道大学理学部化学第二学科
pp.127-129
発行日 1988年4月15日
Published Date 1988/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905114
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軟体動物の一種である貝類は,貝殻を閉じた後,長時間そのままの状態を続けることがある。この持続的な閉殻には,貝柱に含まれている平滑筋が働いている。低いエネルギーの消費量で,何時間というオーダーで持続するこの経済的な収縮は,キャッチと呼ばれ,すでに今世紀初頭から知られている1)。取り出された生筋を使った研究によると,キャッチ状態のエネルギーコストは,活性な張力発生時の約1/10とみなされている2)。
キャッチ収縮に関しては,古くから,ムラサキガイの前方足糸牽引筋〔Anterior bysuss retractor muscle(ABRM)〕を使った多くの生理学的研究がある3,4)。生きたABRMにアセチルコリンを添加すると,活性な張力が生ずるが,アセチルコリンを洗い去っても張力はただちに減少せず,非常にゆっくりと低下してゆく。この持続する張力がキャッチ張力と呼ばれ,セロトニンを添加すると急激に解除される3,4)。セロトニンはABRM細胞内のcAMP濃度を増大させる作用がある4,5)。
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