Japanese
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特集 神経活性物質受容体と情報伝達
受容体の変化と神経疾患—ACh受容体を中心として
Changes in receptors in diseases of the nervous system with special reference to ACh receptor
中村 重信
1
Shigenobu Nakamura
1
1京都大学医学部神経内科教室
pp.582-586
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904946
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神経疾患のあるもの,たとえばAlzheimer型痴呆などの疾患では,情報受容の障害が主症状として現われることが多い。さらに,これらの疾患の形態学的所見として,樹状突起の短小化や消失などの変化が初期に出現し,刺激伝達受容機構の障害が主な病変と考えられるものもある。このような神経疾患の生化学的異常の一つとして,神経伝達物質に対する受容体の異常が報告されている。本稿では,その中でも,とくにacetylcholine(ACh)受容体の異常を中心に紹介する。
ACh受容体についてはすでに述べられたように,nicotine性受容体とmuscarine性受容体に分けられる。nicotine性ACh受容体はヒトをはじめラットなどの動物の脳のほか,脊椎動物骨格筋の神経—筋接合部やシビレエイ発電器官のシナプス後膜に存在する。nicotine性受容体は京都大学の沼教授のグループによりシビレエイの電気器官より抽出したmRNAの逆転写によってcDNAライブラリーを作って,それをもとにして全アミノ酸配列が明らかにされた1)。しかし,骨格筋ニコチン性ACh受容体の抗体に結合する蛋白は脳に認められず,脳のnicotineやAChの結合部位とα-bungarotoxinの結合部位が異なるところから,中枢性(脳)nicotine性受容体と末梢性(骨格筋)nicotine性受容体は異なると考えられる2)。
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