Japanese
English
特集 血管内皮細胞と微小循環
侵襲時生体反応としての微小循環障害—DIC(播種性血管内凝固症候群)の今日的理解
Microcirculatory disturbance in stress condition: a new concept of disseminated intravascular coagulation (DIC)
土屋 雅春
1
,
末松 誠
1
,
三浦 総一郎
1
,
永田 博司
1
Masaharu Tsuchiya
1
,
Makoto Suematsu
1
,
Soichiro Miura
1
,
Hiroshi Nagata
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.211-216
発行日 1985年6月15日
Published Date 1985/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904727
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
侵襲が外因的であると内因的であるとを問わず強い刺激となって生体に加わるときに,生体には病的状態が惹起される。その病的状態は機能異常から器質異常まで,一過性の回復可能のものから恒久性の死に至るまでを含む。一方疾病像は侵襲原因により直接形成されるばかりでなく,侵襲に対する生体反応自身が病像形成に大きな影響を及ぼすことも忘れてはならない。
J. Reilly1)が1934年に「侵襲に対する自律神経過剰興奮による生体の非特異的反応症候群」の中で腹腔神経節に加えられた過剰刺激irritationにより,一見,腹腔神経節とは関係ないような遠隔の臓器にまで出血性病変が起こることを記載して以来,自律神経系の過剰刺激によって諸臓器に病変が生じる現象は,Syndrome d'irritation neurovégétative(自律神経過剰刺激症候群)として知られるようになったが,この事実は,侵襲に対して生体反応として作動する自律神経系が,あるときにはかえって疾病の形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした点できわめて意義深い。
Copyright © 1985, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.