Japanese
English
特集 肝細胞と胆汁酸分泌
胆汁酸の肝細胞内移送とその異常—超微形態学的観点から
Bile acid transport in the hepatocyte and its abnormalities: ultrastructural aspects
織田 正也
1
,
市川 栄基
1
,
小松 弘一
1
,
塚田 信廣
1
,
渡辺 勲史
1
,
船津 和夫
2
,
土屋 雅春
1
Masaya Oda
1
,
Eiki Ichikawa
1
,
Hirokazu Komatsu
1
,
Nobuhiro Tsukada
1
,
Norihito Watanabe
1
,
Kazuo Funatsu
2
,
Masaharu Tsuchiya
1
1慶応義塾大学医学部消化器内科
2東京歯科大学市川病院内科
pp.115-131
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904711
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胆汁酸と胆汁分泌の関係は古くから注目され,胆汁分泌機構の解明に不可欠な課題として究明されてきた。胆汁酸がprimary moverとして毛細胆管へ能動移送される結果,胆汁浸透圧が上昇し,それに伴う水の受動移送がひき起こされることが明らかにされた1)。そして,胆汁流量と胆汁酸排泄率との関係の追究から胆汁流(bile flow)には,胆汁酸依存性胆汁流(bile acid-dependent bile flow)のみならず胆汁酸非依存性胆汁流(bile acid-independent bile flow)が存在することが指摘されるに至った1-7)。さらに最近の報告によると,胆汁酸排泄率が低い領域では,胆汁流の胆汁酸排泄率に対する比がこれまで考えられていた値より遙かに大きいことが判明し8,9),Na+-K+-ATPaseを介する胆汁酸非依存性胆汁流が胆汁分泌の基本をなすとする説が提唱されている10-16)。しかし,これは胆汁酸の肝細胞内摂取が,類洞側肝細胞形質膜に存在するNa+-K+-ATPaseに大きく依存する考えに立脚しているので,むしろ胆汁酸依存性胆汁流と非依存性胆汁流の区別が明確にできなくなってきた印象を受ける。
胆汁酸の胆汁中排泄機構は,肝細胞内摂取,肝細胞内移送および毛細胆管内排泄の三段階に分けて考えられている。
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