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実験講座
簡単にできるスライス標本作製装置
A simple home-made slicer
稲永 清敏
1
,
山下 博
1
Kiyotoshi Inenaga
1
,
Hiroshi Yamashita
1
1産業医科大学第1生理学教室
pp.64-69
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904506
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近年,脳内の神経細胞の電気生理学的機能を解明するひとつの手段として,未固定・未凍結のスライス標本が用いられ数々の成果をあげている1〜11)。このスライス標本から神経細胞の電気活動を能率よく記録するには,標本の中に多くの"生きている"細胞が存在し,記録および刺激電極の刺入部位が実体顕微鏡下で明確に判別できることが望ましい。そのためには,組織にダメージを与えることなく,均一で平滑な切断面をもつスライス標本を作製する必要がある。スライス標本作製方法は,大別して①スライドガラスをガイドとして手動により剃刄で切断する方式12),②チョッパー方式13,14),③ビブラトーム(オックスフォード社)15)等の使用,等々がある。①の方法は,主に嗅球や海馬等比較的均一な堅い組織のスライス標本作製に用いられており,簡便な方法であるがかなりの熟練を必要とする。この方法を軟組織である視床下部等のスライス標本作製に適用した場合,出来あがった標本は滑らかな切断面は持たず,その厚みは不均一である。また②のチョッパー方式では,比較的均一な厚みをもった標本を得ることが出来るが,組織を押し潰すという難点がある。③のビブラトームで作製した場合,平滑な面を持ったスライス標本が均一な厚みで連続して出来るという点ですぐれている。しかし,この機種は輸入品であり,極めて高価であるという大きな欠点がある。
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