Japanese
English
特集 神経発生の基礎
総説
神経成長の開始
Initiation of neurites in culture
小幡 邦彦
1
,
井上 洋
1
Kunihiko Obata
1
,
Hiroshi Inoue
1
1群馬大学医学部薬理学教室
pp.177-185
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903535
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培養下で神経が成長する経過については,Harrison1)(1904)以来,たくさんの研究が行なわれている。例えば先端にある成長円錐(growth cone)とマイクロスパイク(または糸状足filopodium)の活動はNakaiら2,3)により,神経が枝分れするパターンはBray4)により分析されている。また成長中の神経や成長円錐の電顕像はYamadaら5)やBunge, M.6)によって示されている。細胞体から最初に突起が伸び出す過程も生体内での神経発生・再生のモデルとして,また神経成長のメカニズムを研究する上で,興味深い現象である。この神経成長の開始については,1978年,Wessellsの研究室から2つの論文が出ている。すなわちCollins7)とWessellsら8)はニワトリ胚毛様体神経節細胞をポリオルニチンを塗布したガラス上に播き,予め心臓細胞の培養に用いた培養液(条件培養液conditioned medium)で培養し,神経成長の位相差像を16ミリ映画で追跡した。まず細胞周囲にマイクロスパイクが出現し,それが集まるようにして成長円錐が作られる。やがてマイクロスパイクは成長円錐に集中して,細胞周囲からは消失する。この研究では電顕は用いられなかったため,ここまでの所見しか得られなかった。そこでわれわれはこの問題を再びとり上げ,他の方法を組合せていくつかの知見を加えることができた9,10)。
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