コミニケーション
R. K. Crane教授との対話/Fawcett:The Cell(第2版)を読んで思うこと
星 猛
1
1東大・生理
pp.388-389
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903489
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6月初旬に突然R. K. Crane教授が東大生理学教室に来訪され,種々歓談する機会を得た。同教授は小腸での糖の能動輸送の機序に,Na+と糖分子が共通担体に同時に結合して三者複合体を形成し,そのような複合体の形で膜輸送される過程が本質的に重要であるとの考えを最初に提出し,今日のいわゆる二次性能動輸送の概念の基礎を築いた人である。同氏の今回の来日は,1983年シドニーで開かれる国際生理科学会議の組織委員会にアメリカの代表の1人(他はK. Schmidt-NielsenとJ. Pappenheimer)として参加した帰途,気軽な旅行を楽しむのが主な目的であった様である。同会議に日本代表として出席した東大の伊藤正男教授のおすすめもあって数日東京に滞在され,東大にも来訪された次第である。
同教授はもともと生化学者で,Chicago大学の医学部の生化学教授を永年やられ,数年前に現在のRutgers大医学部の生理学・生物物理学教室のChairmanになられ,現在2期目(1期は3年の由)を勤めているとのことであった。米国で生化学の領域で活躍した人が,のちに生理学の教授になったという例は,彼の知る限りでは過去に3名いた由であるが,彼の外の2名は既に亡くなられ,現在は彼が唯一の由で,その点でもユニークな経歴の持ち主である。
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