話題
パスツール研究所,そしてDr.Changeux
斎藤 綱男
1
Tsunao Saito
1
1パスツール研究所分子神経生物学部門
pp.194-197
発行日 1981年4月15日
Published Date 1981/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903462
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今を去ること十余年,京大理学部の一部の学生,特に分子生物学を志す学生にはDr.Changeuxの名はことさらになじみの深いものであった。当時Dr.Changeuxは1961年及び1963年のCold Spring Harbor Symposiumに招待され,スレオニン脱アミン酵素の活性制御に関する講演をしており,又1965年にJournal of MolecularBiologyに彼の師であるDr.Monodそして蛋白化学者として著名なDr.Wymannと共著で,酵素の活性制御を美事に説明し得るアロステリック説を発表していた。私は不勉強な一学生に過ぎなかったが,当時の生物物理学教室に集まる一群の探究心旺盛な人々,特に1年年長の近藤寿人博士(現在,京大理学部生物物理学教室助手)に啓蒙されるにつれ,Dr.Changeuxの美事な論理に徐々に魅惑されるようになった。
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