話題
第11回国際生化学会(トロント):クロマチンについて
堀内 健太郎
1
Kentaro Horiuchi
1
1浜松医科大学医学部化学教室
pp.489-491
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903364
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われわれ人間を含めた高等生物の遺伝情報の担い手であるDNAは,細胞核の中でヒストンやその他のクロモゾームタンパクと複合体(クロマチンと呼ばれる)を形成して存在することが長年知られていた。1974年以降,それまで5成分あることが知られていたヒストン成分のうち,H1と呼ばれるヒストンを除いた4成分がそれぞれ2個ずつ集まってコア(芯)を作り,それに約200塩基対の長さをもつDNAのうち140塩基対が非常に規則正しく巻き付き,残りの約60塩基対でH1ヒストンと結合しているいわゆるヌクレオソームと呼ぼれる複合体を形成していることが明らかにされた(図のA参照)。このヌクレオソームはクロマチンの最も基本的な構造であり,人間の場合,一つの核の中に約107個以上もつながった状態で存在しているであろうということが示されてから急速にクロマチンに関する研究が進んだ。そこで,今年(1979年)の7月8日から13日までの6日間,カナダ・オンタリオ州トロントで開催された第11回国際生化学会で行われたクロマチンに関するシンポジウムの模様と印象について簡単に紹介する。
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