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制限酵素の予言,発見,応用—1978年度ノーベル医学・生理学賞
藤田 道也
1
Michiya Fujita
1
1浜松医科大学生化学教室
pp.158-160
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903315
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1978年度のノーベル医学・生理学賞は"部位特異制限酵素"(site-specific restriction enzyme)の予言,発見,応用のArber,Smith,Nathansの3人に贈られた。ここでは3人の仕事の内容を紹介し,また実験室における彼らの研究のあり方を眺めてみたいと思う。彼らの仕事は分子生物学であるが,NahtansもSmithもインターンやレジデントまでやった医師研究者である。
部位特異制限酵素(以下とくに断わらない限り単に制限酵素と呼ぶ)は簡単にいえば外来性の二重鎖DNA(デュープレクスDNA)を特異な部位で切断する酵素である。もしこの酵素がないと生体はたちまち異種生物の遺伝物質によって攪乱されてしまう。ではなぜ宿主のDNAは分解されないのか。それは宿主のDNAが別の酵素である"修飾酵素"(modification enzyme)によって修飾されているからである(多くの場合特定のアデニン塩基がメチル化されている)。
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