Japanese
English
特集 形質発現における制御
総説
細胞の機能分化とタンパク質合成系
Characteristics of protein-synthesiging systems of differentiated cells
緒方 規矩雄
1
Kikuo Ogata
1
1新潟大学医学部生化学第一教室
pp.267-275
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903131
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タンパク質合成系そのものについては大腸菌から哺乳動物の細胞にいたるまでのリボゾームと精製した酵素系による研究の結果,その開始機作における後述のものを含めた若干の差異を除いては,大筋ではほぼ同じ機作で行なわれていることが明確になつたと考えてよい現状といえよう1,2)。
そこで細胞の機能分化とタンパク質合成系を考えると,つぎの点がまず注目されよう。すなわち細菌の場合mRNAが合成されると同時に,リボゾームが結合してタンパク質の合成を始めるという転写と翻訳が同時に行なわれることが示され,また一連の代謝に関係するmRNAが"ポリシストロニック"のmRNAとして存在する場合があり,またmRNAの寿命が大腸菌で平均2分という短時間である。一方,動物細胞では核でmRNAが大きな分子量をもつHnRNAとして合成され,そのうち大部分は核内で分解されるが,一部が後述の修飾を受けてmRNAとして細胞質に送られるという特色をもち,その寿命は細菌に比して著明に長い3)。また後述のようにHnRNAやmRNAは核内でも細胞質でもタンパク質と結合しmRNPとして存在する。
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