Japanese
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特集 光受容
総説
脊椎動物の光受容細胞
Photoreceptor cells in the vertebrate retinas
山田 英智
1
Eichi Yamada
1
1東京大学医学部解剖学教室
pp.24-40
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903101
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脊椎動物の光受容器としての網膜の微細構造については,本紙をも含めていくつかの雑誌に総説を書いたことがあるので1〜3),この小文では少し見方を変え,光受容細胞の形態を,比較組織学的に述べてみることにする。
よく知られているように,脊椎動物の光受容細胞には2種類,すなわち錐(状)体視細胞cone visual cellと杆(状)体視細胞rod visual cellとが区別されている。この区別は全く形態学的な知見に基づいたものであることはいうまでもないが,多数の動物種の網膜の構造を精査したMax Schultzeは,すでに100年以上前にこの両者の機能的分担を推測し,錐体視細胞が白昼視に,杆体視細胞が薄明視に関与するものと考えたのである。視細胞の形態学を光学顕微鏡を用いて脊椎動物の全般を通じて詳しく観察したWalls4)は,視細胞の分化を系統解剖学的に考察して多くの新しい考え方を提唱した。彼はまた,coneまたはrodという名称で統一することの矛盾を感じ,photocyteとscotocyteという名前を考えている。
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