解説講座
無菌動物について(2)
岩田 和夫
1
,
田波 潤一郎
2
1東京大学医学部細菌学教室
2川崎製鉄食品化学研究所
pp.89-98
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902921
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岩田 この辺で,無菌動物の飼育,あるいは無菌動物を使つて実験する装置の問題に入つていきたいと思います。これは,イントロダクションのところですでに名前が出ていますけれども,ビニール・アイソレーター,ステンレススチールあるいは鋳鉄を使つた,いわゆるタンク装置,この二通りがあるわけですね。こまかくいえば,さらに分けることもできますが。
ビニール・アイソレーターは扱いやすく,安価で数をこなせますから,多くの研究室で盛んに使い出しています。しかし,無菌動物の実験の長期にわたる場合は,ビニール・アイソレーターではいろいろの事故をおこす。つまり,穴があくとか—肉眼ではみえない針でついたような小さな穴でも菌は侵入してたちどころに駄目になつてしまいます。グローブの折れ目に皹裂を生ずるとか,いろいろな事故がおきてくるというデメリットは,現段階ではやむをえないでしよう。
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