研究の想い出
灰色の道を歩む
簑島 高
1
1北海道大学
pp.90-95
発行日 1970年4月15日
Published Date 1970/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902837
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はじめに
田舎で育ち,小学校,中学校,高等学校をへて大学を卒業し,ともかく老生理学者として余生を楽しむことができるのは,父母の恵み,諸学校の恩師の教訓によるものである。貧弱な稲の一株が成育し実を結ぶには太陽の光と空中の炭酸ガス,地中の窒素,燐および水が適時適量に与えられるからである。私にとつての太陽は恩師永井潜先生であり,空中や地中の諸物質によつて作られるATPにたとえることのできる研究のエネルギーは恩師橋田邦彦先生によつて与えられた。この過去約43年間歩んだ道は必ずしも平担ではなかつた。私の学問上の遍歴は意外に広く,多くの研究室に亘る研究に従事したので研究協力者はかなり多数で,限られた紙数でこれらの人の名前は出すことができず,ごく主な題目とこれにタッチした十数名の方に限定する。
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