Japanese
English
特集 情報伝達物質としてのATP
ATPのオートクリン・パラクリン作用:乳汁分泌
Autocrine:paracrine effects of ATP on milk secretion
古家 喜四夫
1
,
中野 春男
2
,
榎本 浩一
3
Kishio Furuya
1
,
Haruo Nakano
2
,
Koh-ichi Enomoto
3
1科学技術振興事業団細胞力覚プロジェクト
2農水省畜産試験場
3島根医科大学第2生理学教室
pp.138-144
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902509
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生体内の各組織は種類は限られているが数多くの細胞が集まってできており,中枢神経系からの制御がなくとも,それら細胞の協調によって組織は機能している。その組織内の細胞間情報伝達は,生体全体の制御に関わる神経系(シナプスを介した情報伝達)や内分泌(エンドクリン)系(ホルモンを介した情報伝達)ではなく,組織内あるいは近隣の細胞のみに作用するオートクリン・パラクリンが重要な働きをしている。特に肝臓や腎臓,骨など多くは興奮性を持たない細胞でできている組織においてその役割は大きい。オートクリン・パラクリンは,活性物質を放出した細胞の近辺の同種のあるいは異種の細胞にのみ作用する情報伝達様式であり,組織内のように同種の細胞が同期して活性物質を出すことにより,より強力なシグナルとなる。その活性物質としては各種のエイコサノイドやケモカインなどがあるが,ATPをはじめとするヌクレオチドがその働きをしていること,そしてそれがかなり普遍的であると考えられるようになってきた。本稿ではマウス乳腺でのATPの働きを例に,ATPのオートクリン・パラクリン作用について概説する。
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