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特集 加齢の克服―21世紀の課題
第2部 総説
Ⅰ.自然老化
脳の老化と糖蛋白質
Brain aging and glycoprotein
佐藤 雄治
1
,
遠藤 玉夫
1
Yuji Sato
1
,
Tamao Endo
1
1(財)東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所糖蛋白質研究グループ
pp.415-420
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902428
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ヒトをはじめとして様々な生物のゲノム構造が次々と解明され,その構成要素の設計図が明らかになっている現在,生命科学の探究は,ゲノムから得られた遺伝子情報がどのように生体の中で発現し機能しているのかという次の段階に差し掛かっている。生体内の蛋白質の多くは遺伝子情報から翻訳された後に様々な修飾を受けており,修飾を受けることによって細胞間の認識や,細胞内情報伝達などで機能していると考えられている。蛋白質修飾の中で主要なものの一つに糖鎖がある。親水性の高いこの分子は主に蛋白質の表面に存在し,分子間の認識に大きな役割を持つ。脳のように神経回路を形成し細胞間の認識が特に重要な組織では必須の分子である。また,現代社会において高齢者のサクセスフルエイジングの達成には,痴呆の防止などに向けて脳機能の老化に伴う変化の解明と機能維持の方法の確立が欠かすことができない。そこで今回,脳の老化による変化を糖鎖という観点から考えるとともに,われわれが解析を試みた老化に伴う脳糖蛋白質の変化を中心に概説する。
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