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特集 血液脳関門研究の最近の進歩
脳神経外科領域における血液脳関門
Blood-brain-barrier in neurosurgery
長嶋 達也
1
,
玉木 紀彦
2
Tatsuya Nagashima
1
,
Norihiko Tamaki
2
1兵庫県立こども病院脳神経外科
2神戸大学大学院医学研究科神経機能制御外科
pp.584-588
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902366
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血液脳関門(BBB)は,脳毛細血管に存在するタイトジャンクション(tight junction)による血液から脳への物質移行の制限を基本として,一方には脳の内部環境を動的安定に保つための複雑な物質輸送・代謝のシステムから成立している1)。また,血管透過性の制御には様々なケミカルメディエーターやサイトカインが細胞内情報伝達系を介して作用している。脳神経外科領域におけるBBBの臨床的意義は大きく二つに分けることができる。一つはBBBの病的な破綻と,それに伴う水および様々な物質の血管内から細胞外腔への漏出であり,脳浮腫として観察される。今一つは,BBB透過性の低い薬剤あるいは巨大分子を治療目的で人工的にBBBを通過させて腫瘍あるいは脳へ移行させることである。本稿では脳神経外科領域における代表的疾患である脳腫瘍と脳血管障害に占めるBBBの意義につき述べる。
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