Japanese
English
特集 脳の発達に関与する分子機構
脳の正中交叉形成機構
Mechanisms for the guidance of commissural axons in the brain
谷口 弘樹
1
,
村上 富士夫
1,2
Hiroki Taniguchi
1
,
Fujio Murakami
1,2
1基礎生物学研究所行動制御
2大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系専攻
pp.205-209
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902270
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
われわれヒトを含め,多くの動物の体は左右対称の構造を有している。よって,動物は左右のバランスがとれた動きをするために,両側の感覚入力を統合し,協調した運動をコントロールする出力を産出しなければならない。このような役割を担うのが脳神経系である。脳神経系は左右対称の軸索束パターンを示し,個々の軸索のうちあるものは正中線に対して同側に投射しており,あるものは対側に投射している。このうち交叉性神経回路は,上述のような左右情報の統合に重要であると考えられている。近年,交叉性軸索投射の形成機構に関する知見が目覚ましい勢いで蓄積しつつある。この研究の進展には,脊椎動物における研究は勿論のこと,ショウジョウバエを中心とするモデル生物を用いた研究も多大な貢献をしてきた。本稿では,このような状況を踏まえつつ,最新の知見を中心に交叉性神経回路形成のメカニズムについて概説してみたい。
Copyright © 2001, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.