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特集 細胞内輸送
ポスト-ゴルジオルガネラとRabタンパク質
Post-Golgi Organelle and Rab Proteins
飯田 弘
1
Hiroshi Iida
1
1九州大学大学院生物資源環境科学研究科生物資源開発管理学専攻動物昆虫学講座
pp.574-580
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901790
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真核細胞は原核細胞と異なり,細胞内に膜に包まれた多種類の細胞内小器官を持っている。例えば,ライソゾームが物質の分解と分解産物の再利用を担っているように,各々の細胞内小器官は独自の機能を持っており,この機能は各々の小器官に特異的に存在する蛋白質に依存している。細胞が合成する蛋白質は,蛋白質自身がもっているシグナルによって,各々の小器官へと輸送される。分泌蛋白質や形質膜の蛋白質はN末端のシグナルペプチドの仲介によって合成された後に粗面小胞体に入り,それ以後膜に包まれた形で細胞内を移動する。この移動には小胞あるいは小管状構造物が関与している。この細胞内小胞輸送の分子機構に関しては,酵母を材料に用いた遺伝学的解析と試験管内で再構築された生化学的解析によって近年急速に研究が進んできた。
本稿では,特にゴルジ装置と低分子量GTP結合蛋白質Rabを中心にした小胞輸送に焦点をあてる。また材料として,心房性Na利尿ホルモン(ANP)を含有する分泌顆粒を取り上げる。ANPは主に心房筋細胞で合成され,腎臓において利尿作用を起こし,体液量および電解質量を減少させるとともに,血管平滑筋を弛緩させることによって血圧降下作用を発揮する。ANPはほかの内分泌細胞と同じようにゴルジ装置のトランスゴルジネットワーク(TGN)で分泌顆粒内にソーティング,濃縮される。
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