Japanese
English
特集 病態を変えたよく効く医薬
高脂血症治療薬:HMG-CoA還元酵素阻害剤―作用機序と薬効
Lipid-lowering drugs: mechanism of action and clinical efficacy of HMG-CoA reductase inhibitors
駒井 亨
1
Toru Komai
1
1三共㈱第一生物研究所
pp.695-700
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901039
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.HMG-CoA還元酵素阻害剤(HMG-CoARI)による血中コレステロール低下の機序
1.HMG-CoA還元酵素の阻害
HMG-CoARIの作用機序は,その名が示すとおりコレステロール合成の初期段階であるHMG-CoAからメバロン酸への変換を触媒する酵素,即ちHMG-CoA還元酵素の可逆的な拮抗阻害を基本としている。HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の律速酵素であり,この酵素の阻害は細胞内におけるコレステロール合成をダイレクトに抑制し,細胞内コレステロール含量を減少させる。
図1に示すようにHMG-CoARIの一つであるプラバスタチンはHMG-CoAと化学構造がきわめて類似したカルボン酸側鎖を有しており,HMG-CoAと還元酵素の結合を競合的に阻害する。HMG-CoAに対するプラバスタチンの阻害定数(Ki)は2.3×10-9Mであり,プラバスタチンの還元酵素への結合親和性はHMG-CoAの約2,000倍に相当する1)。プラバスタチンの高い親和性にはカルボン酸側鎖に加えデカリン構造が寄与していると推定される。なお,HMG-CoARIの中には側鎖がラクトン型をしたものがあるが,これらが阻害活性を示すにはラクトン環が加水分解されカルボン酸型になる必要がある。
Copyright © 1995, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.